Vol.66 山形県-大江町
ギャー、ガァー、グワァー....

※画像データですので、もう少しお待ち下さい。

11月下旬のある日、もうそろそろ今年の釣りも今日で納竿だな〜といった感じで大江町のある釣り場へ出かけた。
この時期の最上川の本流は水温も低くなり、目当ての″へら鮒 ″はなかなか難しい釣りになってしまう。

案の定、朝6時ごろから釣りはじめて2時間ほどなるが、アタリは全然無くジャミ(雑魚の子)も寄ってこない「今日はこれまでか...」と感じていたとき、遠くのほうで騒がしい鳴き声が聞こえる・・・!?ギャー、ガァー、グワァーといろんな泣き声が騒がしくだんだんとこちらへ近づいてくるが、川の流れが急に蛇行している場所で、なかなか状況が把握できない。


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しばらく鳴き声を聞いていると、今の時期だと「鴨」のようである。やはり・・・十数羽の「鴨」? いや、「アヒル」かな? 私には見分けがつかない。
そんなことより、うるさいことこのうえない。全員が一斉にギャー、ガァー、グワァー.......。リーダーと思われるものを先頭に、釣りざおの先まできて泣き叫んでいる。

さすがの温厚な? 私であるが、釣り場を荒らされて黙っているわけには行かない。(ぜんぜん釣れていなかったこともあり) 釣りざおを振り回して追い払おうとしたが、なかなかこの場を離れようとしない。
もう釣りどころではない、近くにあった棒切れを投げつけたりして暴れまくった。


連中は、さすがに恐れをなしたのか、対岸のほうへけたたましく騒ぎながら去っていったが遠くよりこちらの様子をうかがっている。

今日の釣りはこれまでと、道具をかたづけていると一人の老人(仮称 吾作さんのような感じ)がナイロン袋を手にぶら下げてひょろひょろとやってきた、地元の長老らしい!

「釣れだがっす?」
「いや、全然だめだ、余計なお客さんばり来て...」
「あー、あのアヒルの連中が?」
「あの対岸さいるの、アヒルなんだがした!?」
(※これは山形なまりです)

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吾作さん曰く、

二ヶ月ほど前よりどこから来たのかここに住み着いているアヒル12羽らしい。毎日決まった時間に吾作さんが、いろいろな食べ物を持ってきて餌として与えている。その時間帯が今の時間らしい。・・・追い払ったことは内緒にしておこう・・・
アヒルたちは、恐る恐るといった動作でこちらへ近づいて来る、私は少し後ろのほうで腰をおろし目立たないように様子をうかがった。

さて、五作さんがナイロン袋から取り出したもの、それはドッグフードだった。
アヒルがドッグフード食べるのかなと見ていると、アヒルたちは私の事を気にしながらも、地面に蒔かれた餌をせわしなく食べ始めたが、五作さんが手のひらに載せた餌を食べさせようとしても、私のことが気になるのかなかなか近くには寄ってこない。

「なんか今日の連中はへんだな...」吾作さんはしきりと首をひねっている。
「今日は、みだごど無い人いっから警戒してるんだベー。」
「んだがもすんねなー。」

ひとつのナイロン袋が空になって、吾作さんはもうひとつの袋を取り出した。
それはなんと夕べの食事にでも出たのか、焼きカレイであった。それも身がわずかばかり残っているほとんどが骨ばかりのカレイであった。
「アヒルがそんなもの食べるの」と聞きたかったのですが、「ほーれ、ほーれうまいぞ」吾作さんは目を細め食べさせようとしましたが、案の定、見向きもされませんでした。暫くの間世間話をし、吾作さんが帰っていったあとには、カレイの骨だけが残り、アヒルたちはさわがしく対岸へと引き上げていった。


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雪も降り出したこのごろ、吾作さんとアヒルたちはこの寒いなかどうしているのかな?

来春には、ドックフード持参であそこへいってみっか...



Writer;S-Suzuki

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